うたのちから

歌が人の心にあたえる力のすごさは、音楽療法士さんを見ていてひしひしと感じる。
今日も、初めて音楽の集団リハに参加して頂いた方が、
普段は誘っても「いいわ」「しんどいわ」と歌ってくれないのに、
そこでは声を出して歌い、真剣にベルを鳴らしていらした。うーん、すごい。

そして、今日は別のうたの力も感じた。
いつも花を持ってきてくださる短期利用のAさん。
私はその花をよく拝借して、いろんな人に見せて回っている。
たった一本の花に、どれだけの人が笑顔と声をかけてくれることか。
そのせいで、花を持ち歩いた日は仕事が進まないのも事実だけれども。

先日高齢のBさんがカサブランカを見て、母上を想う短歌をしたためられた。
花をくださったAさんに見せたところ、Aさんは返歌を私に託してくださった。
Aさんからのコスモスとその歌を持って行くと、Bさんは「紙とペンを」と。
Bさんの高齢を讃えた歌へのお返しには
「あと幾とせか みなとまみえん」とあった。

普段会うことのないフロアの方同士を、歌という一本の糸が結ぶ。
その事に胸が一杯になり、土砂降りの帰り道もつらくはなかった。