吉井さんのこと

今年も我が家では十日戎にいってきた。
大阪の今宮えびす、神戸は柳原えびすとえべっさんはいくつもあるけれど、
我が家は毎年西宮のえべっさんへ行っている。
http://nishinomiya-ebisu.com/index.html

この神社には、姉が研究の資料を見せて頂きに通っていた時期があった。
吉井さんという権宮司さんに会いに行くのに、姉は私を連れて行ってくれた。
吉井さんは、社務所のロビーで必要な資料を姉に渡した後、
にこにこしながら私たちを天井裏へ案内してくださった。
そこにあったのは、会議用の机の上に広げられた細い紙の帯
帯、帯。そこには、景色が描かれていた。

新幹線からの景色や御堂筋、阪神電車からの景色などを
フィルムケースに入るほどの細い紙をつなげて巻物にした物に
描いておられたのだ。
巻物の良さなどをお聞きしたような気がする。
それを語るその目のきらきらしていたことも覚えている。

その後、作品展がある度に、仕事でかかわった姉の妹である私にまで
お便りを下さった。展覧会へ行けば、にこにこと親しみのこもったお顔でお話下さった。

ずっとご無沙汰していたのだが、
昨年の夏に、姉に届いた郵便物でご病気であることを知った。
お父様への愛情のこもった文章や、
遺稿を出版されたことなどなどがすばらしかった。

そして、案じながらお送りした年賀状のお返事に頂いたのは、
息子さんの名前が書かれた封書。
昨年の11月に亡くなっていたことを知りました。
鎌倉の姉にメールして、遠く離れた場所で、二人で泣きました。

吉井さんと親しかった方の文書です。
http://blog.goo.ne.jp/shinjo_mitsuroku/e/1110e9a7c4641751a689d83971055975

ご冥福をお祈りいたします。
吉井さんなら、きっともう極楽だと思うけれども。